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幻想夜話18 [過去の創作ノートから]

昔話を聞くのが大好きでした。「むかし昔、あるところに・・・」からはじまる物語。子供のころは特に不思議に思いもせず、本を読んだりTVのアニメを見たりして楽しんでいました。

でも、ふと大人になってそれらの背景やディテールの奇妙さが不思議になったり怖くなったり・・・。

私は以前から過去と現在がごちゃ混ぜになるような状況を想像するのが好きだったようですね(笑)。


+++


A:昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。

B:え?おじいさんとおばあさんって、どこの?


A:ああ、とある村のおじいさんとおばあさんだよ。

B:ふうん。で、それっとどこの村?


A:…どこって言われても困るなぁ。昔々のことだから、ハッキリしないのさ。じゃ、先に進むよ。
 
 で、ある日おじいさんは山へ芝刈りに。おばあさんは川へ洗濯をしに行ったんだ。

B:川へ?!そんなの、環境汚染じゃん。だめだよ、ばあちゃん。

A:だけどね、おばあさんはヤシ油洗剤を使ってるから。川にも優しいんだ。

B:ヤシ油…。

A:すると、川上からどんぶらこぉー、どんぶらこぉーと、大きな桃が流れて…来たんだけど…さ。

B:へえ。それで?

A:…不思議に、思わないわけ?何にも??

B:だって、大きな桃なんでしょ?なんで?!

A:いや、別に…。君がいいなら、まあねえ。別に。

B:それからどうしたの?茶碗の船に、箸の櫂で漕ぎだしたんでしょ?

A:ああ、そうそう。そうだった。で、鬼が島へ船が到着したんだ。もう、飲めや歌えの大騒ぎでさ!鯛やヒラメの舞い踊りが、見事なのなんのって!亀もまっ青さ。

B:ヒラメ?クマじゃなかったっけ?

A:え?クマ?!

B:そうだよ。マサカリ担いだら、後はクマに乗らなくちゃ。

A:いや、マサカリじゃなくて、確か打ち出の小槌じゃなかったっけ?

B:もう、しっかりしておくれよ、それじゃあ三年寝太郎じゃないか!

A:あ…。

B:“あ!”じゃないよ、まったく。単に竹切ったって、そんなの月に帰れやしないよ。ちゃんと、きちんと、まな板の上に乗せなくちゃ!

A:じゃあ、芝刈りから出直しだね・・・。

B:ゴルフ場みたいで、興ざめだよ!

A:現実なんて、いつだってそんなもんだよ。違うかい?


+++

シュールな笑いをめざして。。。
むむ。

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