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いかがお過ごしでしょうか? [雑記]

“表現”するという原動力は、人それぞれ異なるんでしょう。
私のケースは、誰かのため、ミッションのためにと力を使い続けたあとに
ふとやって来たようです。

女性性、感情的な言葉、根拠なき妄想・・・
そんなものを封じることで誰かやミッションに力を尽くしてきてました。
もちろん、それが間違いだとは思わないし
私には必要なことだったと思っています。

その状態からふと抜け出したとき
自分の中に伏せてきたものを扱おうと思い、作品のテーマとして取り扱ってきました。
・・・とはいえ、まだたったの3年ほどの創作活動なのですが(苦笑)。

2020年になって、世の中は変わりました。
変わらない部分もあるけど、やはり変わったと感じます。

毎年秋に企画しているイベント『トーチカ!』ですが
いろいろ仲間と議論して、開催することにしました。
課題は山積みですが
こんな状況でもいっしょにやろうといって下さる方々がいるので
やってみることに。

今年は昨年まで取り組んでいた日々の生活でタブーとされたものに光を当てる、というテーマからは
変わりそうですが、それもまたチャレンジになるのだと思います。


良かったら、晩秋の松本でお会いしましょ。
待ってます。

https://www.facebook.com/tochika2020
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恐怖を望むこころの行先。 [雑記]

『雨月物語の世界:上田秋成の怪異の正体』井上泰至(角川選書)という本を読み進めてる。少しでも雨月物語や、上田秋成についての考察を深めたくて。

この本は雨月物語や、作者の上田秋成について掘り下げていて、内容がいちいちおもしろい(笑)。
本を読み進めるのが遅いから細切れになってしまうけど、この著書から得られたインスピレーションをもとに少し雑多に書いてみようと思う。

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今回は「人はなぜ怪談話(怪異)を求めるのか」というテーマについて。
著書では【第1章「生」の不安ーー怪談とその小説が生まれる基盤】というタイトル。

江戸時代に書かれた雨月物語が、どうして現代にも受け入れられ読み継がれるのかという点から出発する文章はとても読みやすい。平和な世の中という、安穏とした場で生きる私たちが疑似的に恐怖を体験することで不安を解消しているという点が、江戸でも現代でも普遍的なのだという。
ここでいう不安ていうのは“平穏だからこそ感じるもの”という言い方が興味深くて。
人は平穏であればあるほど、それが続くことを望むし、それが途絶することに不安を覚えるらしい。・・・・・・ま、そうだと思うけど(笑)。

さらに加えて“都市化”というキーワードも、恐怖の疑似体験を求める心理を醸成したらしい。
都市化することで個人の匿名化が進み、これによって不安が増大していく。
アパートの隣人が誰かよくわからないとか、そういうのは現代だってフツウにあることだ。


でも、やっぱり少し引っかかる。
私が雨月物語を読みたい(作品づくりをするほどまでに関わりたい)と思うのは
単に平穏さが生み出す不安を超克したいからじゃない。
単にありもしない未来の不安を先取りして、軽く水に流すような、そんな感じでは説明がつかない。

例えば「青頭巾」。私はこの物語で描かれる同性愛や年齢差のある相手への愛欲とか執着とかが気になってしまう。描かれている恐ろしいシーンに惹かれるというより、こうしたディテールに興味を覚えてしまうみたいだ。

物語では少年への愛欲に鬼と化した元僧侶が、徳の高い旅の僧侶の仏徳によって教化され、元僧侶の妄執は氷が朝日に溶けるがごとく消え去る・・・・・・というクリアな建付けになっている。でもね、そうは簡単には終わらないんじゃないの?っていうのが私の考え。仏教を否定するつもりはないのだけど、人の執着とかはどんな世になっても消えずにあり続けるような気がしてる。

雨月物語の中に描かれる恐怖・・・・・・私はその恐怖をむさぼって不安をどうこうしたいわけじゃない。それより、妄執を抱き続けるリアルな人の心の闇をにらみ続けていたいという、なんともしちめんどくさいことをやりたいって思ってる。もう、ほとんど理解不能なんだけど(笑)。

私がやりたいのは、訪れもしない未来の不安をなぞって消したつもりになるのじゃなくて
それがどんなに見たくないものであったとしても、そこにあり続けるものとして眼前に置き続けたい。これが私なりの不安との闘い方。もっとカンタンな方法がありそうなものだけれど(苦笑)。

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次回は第2章「幻術の文法ーー怪異表現の視覚と聴覚」を読んで、
そこから得られたインスピレーションで書いてみたいな。


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秋成さんに呼ばれる。 [雑記]

先日まで京都で過ごしてた。



旅立つ直前に、思い立って予約した宮内庁管理の庭園参観*1。


場所は町中でアクセスのよさそうな仙洞御所にした。



丸太町駅で降りて少し歩くと今度は京都御所の敷地へ進んでいく。


地図を見ると京都御所と仙洞御所は隣同士にある様子。


現役の天皇と退位した天皇が隣り合わせで暮らしていたのかな、


など想像を膨らませながら歩いていくと


敷地内の新緑がまぶしくて目を奪われた。



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参観を終えるといつもの習慣で、位置記録アプリを立ち上げる。


『んと、仙洞御所は、と・・・』


歩きながらスマートフォンをのぞき込んでいたのだけど


思わず立ち止まる。


『え?』


表示された近隣スポットに「上田秋成終焉の地」とあったから。


見ると私のいる場所からわずか100メートルほどの位置。


『っ・・・呼ばれた?』



つくりはじめた朗読作品は、上田秋成の『雨月物語』。


まだまだ上田秋成のことや雨月物語のことはリサーチ中だけど


うーん、秋成さんに先を越されたという感じがして不思議な気持ちに襲われた。


もちろん、それは怖いとかじゃなくて、


肩をポンポンと叩かれ「がんばれ」って言われているような感じ。



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ある人にこの話をしたら、舞台作品をつくっている人には時にこうした偶然があるそうだ。


舞台作品をクリエイトするのって、日常の常識では考えられない不思議な交流が生まれるのかも知れない。



*1<宮内庁参観予約サイト> <http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/sento.html>





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  上田秋成終焉の地の石碑がある梨木神社

 

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 石碑

 



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