幻想夜話/23 [過去の創作ノートから]
もうすぐ十五夜。
月からみえる兎は日本独自のものらしいですね(西洋では蟹だとか)。
月をみながら妄想に浸るのも楽しそう(笑)。
+++
部屋の真中にある箱が、にわかに騒がしい。
もう3日も前から。
・・・さすがに気になってきた。
今夜は、とにかくフタを開けてみることにする。
何が入っているかは、開けてみないことにはわからない。
フタを開けると、中には白くてモコモコしたものが。
“ピョン!”
飛び出したのは兎。
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
出てくる、出てくる、11匹もの白兎。
僕はあっけにとられて呆然としてしまった。
「な、ななな、なんなんだよ、お前たち。」
“最近、目じりのシミ・シワが気になりませんか?”
“クリスマスまでに-5キロをお約束します!”
“おしゃれの締めくくりは、ペディキュアで決まり!”
“コート全品、99パーセントオン!”
“モニター登録で、50万円の旅行券・当たる!”
“問題は、肌年齢です。”
“俺?”
“今ならまだ間に合う、週末の宿。”
“あの人はもうはじめてる”
“モテるために今、はじめましょう!”
“これだけあれば、彼はあなたのオンリーワン!”
兎は部屋中をピョンピョン跳ねまわりながら、
何か口々にしゃべってる。
「おいおい、うるさいよ!」
・・・と、兎たちはピタリと止まった。
僕は逆にビックリして、気まずくなってくる。
「い、いや、別にいいんだけどさ。」
…。
“最近、目じりのシミ・シワが気になりませんか?”
“クリスマスまでに-5キロをお約束します!”
“おしゃれの締めくくりは、ペディキュアで決まり!”
“コート全品、99パーセントオン!”
“モニター登録で、50万円の旅行券・当たる!”
“問題は、肌年齢です。”
“俺?”
“今ならまだ間に合う、週末の宿。”
“あの人はもうはじめてる”
“モテるために今、はじめましょう!”
“これだけあれば、彼はあなたのオンリーワン!”
騒ぎは一晩中続いた。
僕はもうクタクタで、怒る気も止めさせる気もなくなってしまった。
ただ、11匹の兎たちの中で、1匹だけ他の奴らと違うことを言ってるのがいて、
それがどの兎なのかが気になってしかたがなかった。
ピョンピョン跳ねまわる兎たちは、どれを見ても同じにしか見えない。
僕は目を閉じた。
そして、そっと耳をすませて、ある1匹の白を捕まえた。
“俺?”
僕はそいつを抱きかかえると、部屋の真中の箱の中にもぐりこんだ。
もう、うんざり。
眠りたいんだ。
“俺?”
“俺?”
“俺?”
僕はその白いのを枕に、朝まで眠った。
きっと朝には、みんな消えてなくなるさ。
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月からみえる兎は日本独自のものらしいですね(西洋では蟹だとか)。
月をみながら妄想に浸るのも楽しそう(笑)。
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部屋の真中にある箱が、にわかに騒がしい。
もう3日も前から。
・・・さすがに気になってきた。
今夜は、とにかくフタを開けてみることにする。
何が入っているかは、開けてみないことにはわからない。
フタを開けると、中には白くてモコモコしたものが。
“ピョン!”
飛び出したのは兎。
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
“ピョン!”
出てくる、出てくる、11匹もの白兎。
僕はあっけにとられて呆然としてしまった。
「な、ななな、なんなんだよ、お前たち。」
“最近、目じりのシミ・シワが気になりませんか?”
“クリスマスまでに-5キロをお約束します!”
“おしゃれの締めくくりは、ペディキュアで決まり!”
“コート全品、99パーセントオン!”
“モニター登録で、50万円の旅行券・当たる!”
“問題は、肌年齢です。”
“俺?”
“今ならまだ間に合う、週末の宿。”
“あの人はもうはじめてる”
“モテるために今、はじめましょう!”
“これだけあれば、彼はあなたのオンリーワン!”
兎は部屋中をピョンピョン跳ねまわりながら、
何か口々にしゃべってる。
「おいおい、うるさいよ!」
・・・と、兎たちはピタリと止まった。
僕は逆にビックリして、気まずくなってくる。
「い、いや、別にいいんだけどさ。」
…。
“最近、目じりのシミ・シワが気になりませんか?”
“クリスマスまでに-5キロをお約束します!”
“おしゃれの締めくくりは、ペディキュアで決まり!”
“コート全品、99パーセントオン!”
“モニター登録で、50万円の旅行券・当たる!”
“問題は、肌年齢です。”
“俺?”
“今ならまだ間に合う、週末の宿。”
“あの人はもうはじめてる”
“モテるために今、はじめましょう!”
“これだけあれば、彼はあなたのオンリーワン!”
騒ぎは一晩中続いた。
僕はもうクタクタで、怒る気も止めさせる気もなくなってしまった。
ただ、11匹の兎たちの中で、1匹だけ他の奴らと違うことを言ってるのがいて、
それがどの兎なのかが気になってしかたがなかった。
ピョンピョン跳ねまわる兎たちは、どれを見ても同じにしか見えない。
僕は目を閉じた。
そして、そっと耳をすませて、ある1匹の白を捕まえた。
“俺?”
僕はそいつを抱きかかえると、部屋の真中の箱の中にもぐりこんだ。
もう、うんざり。
眠りたいんだ。
“俺?”
“俺?”
“俺?”
僕はその白いのを枕に、朝まで眠った。
きっと朝には、みんな消えてなくなるさ。
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