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幻想夜話/17 [過去の創作ノートから]

最近は庭でトカゲをよく見かけたり、
野山を散策したり近所に出かけてもトカゲをよく見かけます。
以前は苦手意識もありましたが、
なぜか最近はトカゲを見ると笑顔で話しかけてしまいます(笑)。

過去の創作ノートを忘れた頃にひも解くと、
恥ずかしいくらいの傷や痛みに向けて、
自然と笑顔で話しかけてしまいます。
「・・・もう、痛くないね。大丈夫だ。」

苦手なものも、痛みや苦痛も、
ときと共に笑顔に収れんされていくなら、
生きていくことも悪くはないですね。




+++

 あわてんぼうのトカゲさん。
 ほらほら、またシッポを忘れた。

 月がまるくて
 きれいな夜だから
 いっしょにいようよ。
 いつか、約束しただろ?


 時間は悠久に。
 僕らが初めて出会ったのは
 もうヒトが生まれるずっと前のこと。
 記憶がないくらいに前のこと。


 失くしてしまった思い出とか
 消えてしまった過去とか
 見いだせなくなった未来とか

 いつだってそう。
 君はシッポを切って逃げ出した。
 僕は、
 何も切って捨てられるものがなくて泣いたっけ。
 逃げるには、捨てるための身が必要なんだって
 教えてくれたのは君だったよね。

 今夜はいっしょにいよう。
 君がどうにも逃げ出せないくらいに
 抱きしめるから。


 
 僕は
 何を切って捨てられるかな。
 
 
 ・・・月が、見ているよ。



+++
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